次回会うような事があったらカマシを入れたろ 16

そうと決まったら、実行あるのみだが、ここに一つすんなりとは行かない事情があった。

 

<E>をなかばスピンアウトしてからは、向こう3年間のあいだに2年の実務経験を積まなければならない「みなしサビ管」という立場だったため、障がい者向けのグループホームで週に2日ほどサビ管として入っていた。

 

グループホームの場合は非常勤でも可能だが、就労継続支援の場合、常にサビ管が居なくてはならない。

ということは、自分が就労Bを始めるにはそのグループホームは完全に辞めなければならない。

 

しかし、そのグループホームの事情を考えると杓子定規に決まった日数前、つまり会社規則では30日前、労働基準法では14日前に退職の書類を出して終わり・・という訳に心情的にもいかない。

 

やはりここは自分の都合だけで「辞めますわ」というのも自分勝手だと思い、事情を説明のうえ新しいサビ管を募集してもらい、決まったら交代する、ということにした。

 

ところが3か月経っても中々決まらない。

 

私はその間、サビ管として従事している時間以外は自分の事務所の改装をすることにした。

 

まずはアンティーク調の室内に変えるべく、事務所によくありがちな白の量産型ビニールクロスの上に、古材調に塗装した杉のバラ板を貼りだした。

 

本来は下地に使うものだが、これに木の繊維に浸透するタイプの塗料を塗ると新品という感じがせず、逆に良い感じになった。

 

こうしてDIY内装工事を進めていき、いつかは新しいサビ管が来るだろうから、その時に本格的に進めていけば良い、と考えそのグループホームのサビ管を続けていた。

私は先述したように週2回しか行かないので、ノーアポイントメントで来ると「留守」である確率の方が高いのだが、ある日のことである。

 

出勤してみると、そこのスタッフが「先日、相談員さんが訪ねてきて『あき坊さん(実際は私の本名)を知っている』と言ってましたよ」

と言ってきた。

 

名前を訊くとあの<E>にいた広告屋崩れの薄ら禿オジンであった。

 

確かに彼は当時、相談支援専門員を受講するため当時管理者であった私にこの書類にハンコついてくれ、と言ってきたことがある。

 

普通ならもし再会したなら「やあ、久しぶり」と笑顔で挨拶を交わすのだろうが、そんなことは到底できないある事実を耳にしていた私は、もし再度やって来て、私と会うような事があったらちょっとカマシを入れたろ、と思ったのである。

 

つづく


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