ご神託が下る 15

立ち上げようと思ったのは良いが、どのような作業内容にするのか。

今までの私だったら、出来るだけ最先端のものを取り入れて・・
とやっていたが、全く正反対のことをやることにした。

イメージしたのは前回の記事で書いた、私が中学生のときにオーディオ雑誌に紹介されて知り、高校になってはじめて一人で行った東京中野の喫茶店である。

時代の先端を向いて走るのをやめて、180度転換したら見えてきたものだ。

もし、時代の最先端を取り入れて、となれば今風にいうとメタバースやDAOということになろうか。

このブログがもし15年くらい先に残っていたとしたら「こんなみんなやってる当たり前のこと何言ってるんだ」とお叱りを受けるかも知れない。

しかし考えてみてほしい。

今から15年前、「スマホを見ながらSNSで一般人が情報発信をする」といってもほとんどの人がピンとこなかっただろう。

更にそこから15年前、つまり30年遡ると、「世界中でほとんどの人が電話機を眺めながら日常を過ごしている」というと「何を馬鹿な事を言っているんだ」と言われたはずだ。

そして、更にそこから10年、つまり40年遡ったところの話となる。

時代でいえば昭和50年代の中頃、私が小学校から中学に上がるくらいの時期だった。

親戚のおっちゃんがサンスイの真空管アンプをスピーカーとセットでくれた。

スピーカーはHAWK(ハーク)といって、一つ一つ手づくりでスピーカーを組み立てるという職人気質なメーカーだったが、その当時からみて20年前に潰れたと聞いていたので、知っている人はよほどのオーディオマニアだろう。

アンプも時代でいえば昭和30年代のもの。

おっちゃんからしたら不要になった中古をくれたのかも知れないが、私にとっては人生を変えるくらいのものだった。

そこからアンプの部品を求め、日本橋の電気街に通うようになるのだが、以前のブログにも書いたとおり、「日本橋でんでんタウンというくらいだから日本橋駅で降りたら良いだろう」と考え、本来の正解である地下鉄「恵美須町駅」で降りずに、「日本橋駅」で降りたため電気オタクにはならず、千日前に紛れ込みアウトローの道に進むことになって、そこから不動産屋の道を歩むことになったのは既に述べた通りだ。

そのアンプを弄っていた中学生のころ、そして高校になって東京中野の喫茶店で感動した思いを再現して、分ち合えたらと考えた。

その東京中野の喫茶店とは「名曲喫茶クラシック」というところで、私が中学生のころコアなオーディオ雑誌である「無線と実験」誌に紹介されていた。

とにかくオーディオシステムの殆どが手づくりで、レコード針まで竹を使って作ってしまう。

まず入るとメニューが掲示されていて「コーヒー、紅茶、ジュース」の三点しかなかった。

そして、値段が170円と書かれていて、当時でも普通の喫茶店だと300円くらいはしていたので、高校生だった私にはありがたい。

これでも数年前に読んだ無線と実験誌の紹介ページには150円と書かれていたのでさすがに値上げしたのだろうがそれでも破格だった。

マスターは無線と実験誌に掲載されていたそのまんまのハンチング帽を被った鷲鼻の西洋風な風貌のおじいちゃんで「食べ物はありませんから、もしお腹すいていたら、その角にパン屋があるから買ってきて食べてください」と言ってくれた。

中に入ると、全てがホンモノのアンティークである。

よくアンティークを売りにしている店でありがちなキンチョーやオロナミンCのブリキ看板を掲げているところを見たことがあるが、まるで次元が違う。第一それらの看板は室内ではなく、屋外に掲げる看板なのでおかしいと思ったことがある。

そんな「にわかアンティーク」とはまったくの別物であった。

なぜなら、ここ名曲喫茶クラシックは何もアンティークを売りにしているのではなく、戦後すぐにオープンしたままの造りなので、自然発生的なホンモノのアンティークだったのである。そして、店内は真空管アンプとマスター手づくりの平面バッフルのスピーカーからクラッシック音楽が流れる。

私は時代の最先端を追いかけるのではなく、その真反対に向かって見えてきたこれを就労継続支援B型でやろう、と思ったのである。

もちろん、今からやる訳だから、さきほどの言い回しでいう「にわかアンティーク」店舗にはなるだろうけど、真空管アンプなどは現在アマゾンなどで売られている今風のものではなく、私のジャンク箱に眠っているホンモノの真空管アンプを使って、こういった事ができるのではないか。

就労継続支援B型作業の喫茶部門としてできるところまでやってみよう。

これが私が福知山の大江町にある元伊勢皇大神社に参拝したときに閃いたものでおそらく神からのご神勅ではないかと勝手に思う事にした。


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